東野圭吾の初期の作品「卒業」の感想などです。
最初に読んだのは二十数年前でしたが、このたび改めて読み直してみたました。
7人の大学4年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。ある日、祥子が自室で死んだ。部屋は密室、自殺か、他殺か?心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、祥子が残した日記を手掛りに死の謎を追求する。しかし、第2の事件はさらに異常なものだった。茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!?
Amazon より引用
本作品は、加賀恭一郎シリーズの記念すべき一作目です。
加賀恭一郎が大学時代の話で、内容としては、加賀の女友達が自室である女子寮で死亡し、それを当初は女友達の沙都子が調べだし、最終的には加賀がすべての謎を明らかにするというものになります。
初期の作品ということもあり、東野圭吾お得意の人物描写や背景の作り込みなどは浅く感じますが、その分トリックなどは凝っており、いわゆる正統派なミステリーに属すると思います。
そういう意味では、中期以降の東野圭吾の作風とはかなり違いますが、自分は純粋にミステリーとしてとても楽しめました。
ただ、雪月花ゲームのトリックはパズルみたいなものなので直感的なものではなく、理系が苦手な人には理解するのがかなりしんどいトリックかもしれません。
以下、ネタバレありの感想です。
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結果的にこの作品のキモになる謎の部分は、共犯がいたという点になるかと思います。
2つの事件は波香自身が起こそうとしたが、それを利用して逆に殺されてしまったという発想はなかなかのものですね。
実際、
雪月花ゲーム中に毒を盛る部分については、沙都子以外は狙って毒を盛るのなんて絶対無理だよな〜
でも、沙都子が殺人犯だとしたら、ちょっとアクロイドチックないわゆる禁じてっぽい手法だよな〜
なんて思いながら読んでいたのですが、共犯がいることできっちり収まったのはスッキリ。
ただ、そのトリックの後始末の時には南沢先生は薄々気づいていて、しかもその証拠隠滅を陰ながらサポートするというのはちょっと納得いかんですね。
なんでそんなことをしたのだろうか??
あとは、一見関係なさそうな波香の大会での謎の敗北。
これが実は最初の事件とも関わり、2つ目の事件と直接関係してくるところはよくできていると思った。
とはいえ、細かいところでは、前述の先生のぷち共犯の件とか、窓の鍵を形状記憶合金のものと差し替えてしまうとか、メンバーが死んだ直後なのに誕生会を行うとか、ちょっと現実味の無い設定もあるな〜というのも正直あると思います。
そういう意味では、トリックとか全体の構成は面白いんだけど、いろいろと詰めが甘いな〜と感じる作品でした。
ま、東野圭吾という著者の期待値が高いせいも多分にありますが。
それにしても一番スッキリしなかったのは、結局加賀のプロポーズはどうなったの??ということ。
残念だとか言ってるけど、なんで残念なのかわからないのは自分だけなのだろうか。
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