虚像の道化師 / 東野圭吾

東野圭吾の「虚像の道化師」の感想などです。

二冊分の面白さ! ガリレオ文庫版、お買い得です
天才物理学者・湯川と草薙刑事のコンビが難事件を解決する、シリーズ王道の短篇集。単行本二冊分の文庫版オリジナル編集で登場!
ビル5階にある新興宗教の道場から、信者の男が転落死した。男は何かから逃れるように勝手に窓から飛び降りた様子だったが、教祖は自分が念を送って落としたと自首してきた。教祖は本当にその力を持っているのか、そして湯川はからくりを見破ることができるのか(「幻惑す」)。ボリューム満点、7編収録の文庫オリジナル編集。
文庫化に際し単行本『虚像の道化師』と『禁断の魔術』(収録作「猛射(う)つ」を除く)を合本して刊行致します。ボリューム満点の「ガリレオシリーズ」短編集です。
ビル5階にある新興宗教の道場から、信者の男が転落死した。その場にいた者たちは、男が何かから逃れるように勝手に窓から飛び降りたと証言するが、教祖は自分が念を送って男を落としてしまったと自首してきた。
湯川は教団に赴きからくりを見破る(「幻惑(まどわ)す」)。ほかに「心聴(きこえ)る」「偽装(よそお)う」「演技(えんじ)る」「透視(みとお)す」「曲球(まが)る」「念波(おく)る」を収録。
単行本『禁断の魔術』収録短編「猛射(う)つ」は大幅加筆によって長編に改稿し、『禁断の魔術』として文庫化。

Amazonより引用

ガリレオシリーズ第7弾。
冒頭の紹介文にも書いている通り、もともとは単行本2冊分の作品を文庫にしたようです。
ということで、短編集ですがなかなかボリューミーです(^_^;)
各作品安定したクオリティですね。
相変わらず読みやすい文章でサクサク読め、どの作品もおもしろい。
ボリューミーでしたが一気読みでした( ̄ー ̄)

以下、例によって軽くそれぞれの短編についての感想を。
ネタばれ注意で。

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幻惑す まどわす

クアイの会の教祖が、自分が念を送ることにより、信者の男を転落死させたという話。
トリックはマイクロ波を使ったものだったのだが、これなかなか怖いですな。
現実でもうまいことこういう装置があれば普通に騙せそうな気がする。
なにより、この教祖はこのマイクロ波の装置のことはよく知らなかったらしく、本当に自分の力で年を送れていたと思っているところがさらに怖い。

透視す みとおす

透視能力を持つというアイというホステスの話。
そのトリックを見事湯川が解明する。
透視のトリック自体は赤外線を使った物理的なトリックなのだが、それに加えてコールド・リーディングの技が組み合わさっているのがおもしろい。
湯川は何でもよく知ってますなw
しかし、トリックでもなんでも良からぬものを透視してしまったことによりアイは殺されてしまったので、こういうスキルがむしろ身を滅ぼすこともあるのだなと感慨深いですな。
このアイという女性はとても有能な女性だと思うのだが、結局なんだかんだでずっと不幸を引きずってしまっていたという結末なのでちょっと物悲しい。
しかし、最後に継母には気持ちが通じたっぽいので少し救いはあるかな。

心聴る きこえる

なんと!草薙刑事が腹部を刺されて重傷を負うというところから始まります。
この草薙を刺した男は幻聴により狂ってしまったらしい。
この幻聴のトリックは、電磁波を頭に照射することにより音を脳に伝えるというものらしい。
また、難しいものを持ってきましたな〜笑
別件でもこのトリックを使った時間が起きており、そこではサブリミナル効果も登場。
いろいろと散りばめてきますな〜

曲球る まがる

プロ野球選手の夫とその妻の話。
妻は強盗にあい殺されてしまう。
しかし、その妻の死ぬ直前には不審な行動が。

台湾では、置き時計を人に贈ってはいけないのですね〜
そんなプチ情報を重要な要素にあてつつ、消火剤による侵食を突破口にして湯川が真相を解明。
妻は戦力外通告された夫が海外を視野に入れることも含めて野球を続けることを助けようとしていたことが発覚。
というなかなか感動的なストーリー。
しかし、そんな健気としか言いようのない妻が殺されてしまうというのがホント残念な話ですな。

念波る おくる

お互いにテレパシーを送り合うことができるという双子の姉妹の話。
妹の春菜は姉の若菜が自宅で何者かに襲われたことをテレパシーで知ったと言う。
この謎な証言を例によって湯川に解明を依頼するが、湯川は一発でテレパシーがうそだと見破った上で、逆にあたかもテレパシーが使えるかのような狂言のサポートを行う。
めずらしく物理っぽくない話ですな〜笑

そして、最後は若菜の夫が黒幕だったということを突き止めてめでたしめでたし。

偽装う よそおう

湯川と草薙はバトミントン部の仲間の結婚式に出席する。
その最中、近くの別荘地で殺人事件が発生。
そして、大雨のせいで土砂崩れが発生し、しばらくは警察が来れないため、草薙が初動調査を依頼される。
名探偵の掟 でなにやら言われちゃいそうなシチュエーションですなw

この殺人事件、夫婦と思われる男女が殺されていたが、何者かが現場を偽装していることを湯川は見破る。

話の内容は面白いのだけれども、結局これ、子供である多英が保険金をゲットするために偽装したという、まあわりとしょうもないオチ。
にも関わらず、湯川と草薙は、道中の傘のお礼とばかりに、多英に偽装したことを咎めることなく、素直に話すことを勧める。
作品中はいい感じに終わった風に書かれているけど、ちょっとモヤるな〜

演技る えんじる

シチュエーションや伏線、叙述などほんとによくできた作品だと思います。
しかし、殺人犯という役をギリギリの緊張感の中で演じてみたかったという神原敦子はさすがに狂っているとしか思えんw
実際にこんな狂った人が真犯人をかばったりしたら真相を見抜けないんじゃないかな、とも思った。

コメント

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