東野圭吾の「十字屋敷のピエロ」の感想などです。
ぼくはピエロの人形だ。人形だから動けない。しゃべることもできない。殺人者は安心してぼくの前で凶行を繰り返す。もし、そのぼくが読者のあなたにだけ、目撃したことを語れるならば…しかもドンデン返しがあって真犯人がいる。前代未聞の仕掛けで推理読者に挑戦する気鋭の乱歩賞作家の新感覚ミステリー。
Amazonより引用
十字屋敷なんぞというまさにミステリー用に設定されたなという感じの舞台で起きる事件に纏わるミステリー。
いわゆる古典的な本格派ミステリーですが、ちょいちょい重要な叙述が屋敷内に置かれているピエロ視点で行われるところが特徴的ですね。
この叙述がわりと重要だったりするのがクセモノ。
そして、最後の最後にはいい意味で古典的なミステリーと思われたこの作品の構成を根底から覆しかねないひねりも。
世の中的にはあまり評価されていない気がしますが、とても良く考えられている作品で、とてもおもしろかったです。
しかし、東野圭吾ってピエロが好きですな〜
以下ネタバレありの感想です。
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まず特筆すべきは、やはりピエロの叙述ですな。
ピエロが見たままが書かれている=事実が書かれているわけですが、これをそのまま受け入れてしまうとおかしなことになってしまうというところが非常に上手い書き方ですね。
まさか、「十字」屋敷であることが重要な意味を持つとは思いもしなかった。
そして、もっとも特筆すべきは、宗彦、理恵子、青江の殺害は実行犯は永島であったが、後ろで操っていたのは実は佳織であったというオチ。
たしかに、「あたしたちには、あたしたちなりのやり方があるんです。両足が自由に動く人たちよりも、ずっと巧いやり方が」なんてセリフが序盤にありましたねー
なにかの伏線だよな、これは。と思っていましたが、読み進めている内にすっかり忘れてました(/_\*)
思い返してみると、たしかにいろいろと後ろで操っていた感のある叙述が要所要所にありました。
いや〜完全にやられましたな。
このどんでん返しがなくても、この作品は十分に本格派ミステリーとして体をなしていると思いますが、この一連の事件が実は佳織が母親が殺された復讐のために仕組んだものだったという構成が加わることによって普通の良作から傑作になったなと個人的には思いました。
いやいやいやいや、ホントこういう構成よく考えつきますな!
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