あの頃の誰か / 東野圭吾

東野圭吾の「あの頃の誰か」の感想などです。

メッシー、アッシー、ミツグ君、長方形の箱のような携帯電話、クリスマスイブのホテル争奪戦。あの頃、誰もが騒がしくも華やかな好景気に躍っていました。時が経ち、歳を取った今こそ振り返ってみませんか。東野圭吾が多彩な技巧を駆使して描く、あなただったかもしれれない誰かの物語。名作『秘密』の原型となった「さよなら『お父さん』」ほか全8篇収録。

Amazonより引用

東野圭吾の訳あり作品の短編集だそうです笑
訳ありのわりには普通におもしろいです。
巻末にそれぞれの作品について簡単に紹介されているのもおもしろいですね〜

以下、例によって軽くそれぞれの短編についての感想を。
ネタばれ注意で。

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シャレードがいっぱい

バブル期絶頂の頃の話ですかね。
この作品にちなんで「あの頃の誰か」というタイトルになっているようです。
しかしAが仝の書いている途中という話はねぇ。
仝なんて字があるの初めて知ったw
というか、これが重要なキーワードになり、「仝」に線を一本書き足したら「全」になるのが重要というのは少々興醒め感ありますな。
もう少し一般的なネタでお願いしたい(^_^;)
しかし、東野圭吾もよくこんな漢字知ってたし、こんなネタ思いついたなw

レイコと玲子

二重人格ネタ。
わりとありきたりだな〜と思っていたら、最後の最後でにひとひねりありましたな。
わりと普通っぽい人が多重人格のフリをして別の人格が犯罪を行ったように見せかけるというのはよくある話。
しかし、もともと凶暴な人間が犯罪を行ったあとにおとなしいフリをして、今までは別人格に乗っ取られていたんだ!と思わせるのは新しい。

再生魔術の女

養子縁組の斡旋をする中尾章代と依頼した根岸峰和の話。
最初は単なる養子縁組の斡旋だと思いきや、この養子縁組には実は章代の恐るべき計画が。
少しずつ全貌が明らかにされていくさまには戦慄を覚えました。こわい(/_\*)
結果、峰和は自殺してしまった。
が、実は綿密に計画されたと思われていた章代の計画は口だけの嘘八百だったというオチ。
傑作ですね〜

さよなら『お父さん』

いや、これ「秘密」のストーリーそのまんまじゃん。
ちょっと軽いノリなので、「ライト秘密」とでも言うべきか。
と思ったら、巻末の説明によると、まさにこの作品が「秘密」の原型となった作品だそうです。
短編として書いたけど気に入らなかったので、後に長編として書き直したものが「秘密」になったとのこと。
個人的にはこの作品も普通におもしろいと思うけど、「秘密」のような感情を揺さぶられる感覚はあまりなかった。
アイディア的にはほとんど同じなので、やはり内面の描写だったり叙述的なテクニックというのは本当に重要だなと思いました。

名探偵退場

いわゆるミステリーを皮肉る系の話ですね。
かつては名探偵?だったワイクとその助手マーシュの話。
単なる皮肉な話かと思いきや、事件の関係者を守りつつ、ワイクの最後の願いもある意味かなえるというマーシュの計画の真相が分かった時には、すべての伏線がつながった感満載で爽快。

この作品がもととなって名探偵の掟シリーズの執筆となったようです。
たしかに話の雰囲気はそっくりですw

女も虎も

巻末の説明によると、この作品はタイトルを別の作家からお題としてもらい、それに従って作品を書くという企画的なもので作られたらしいです。
そのせいか、正直全般的にイマイチ感がありますな〜
タイトル通りの内容ではあるので、そういう意味では頑張ったなwという感じですwww
最後のオチは女かつ酒飲みの大トラで「女も虎も」になったよねというオチだと思うのですが、正直酒飲みのトラという言葉は本当に超久々に見た気がするw
一応江戸時代っぽい感じで書かれているので問題はないけど、やっぱりおもしろい!というよりは頑張ったね〜という方が出てしまうなw

眠りたい死にたくない

冒頭で耐えなきゃいけない、、、的なことが書かれていてなんのことやらと思いきや、どうしてこうなったのかといった話が延々と続いていく形式。
手足は拘束されており、その状態でひっくり返したバケツの上に立っている。
そして、首にはロープが巻きつけてあり、バケツを引っくり返してしまって足元がすくわれると、首がしまって死んでしまうということが後半に判明するw
最後はこの窮地に陥っている主人公が真相に気付くというストーリー。
そして結局どうなったのかは不明www

二十年目の約束

東野圭吾の人間ドラマチックな作品。
いろいろ伏線があってミステリー色が強い、いわゆる正統派な作品ですね。
そういう意味では、東野圭吾の短編集としては異色ですなw
この手の東野圭吾の作品は感動を呼ぶタイプの作品が多いと思うのだが、残念ながらこの作品は正直「ふーん」というくらいで終わってしまった。
特別に悪いわけでもないが良くもないという感じ。
題材は良いと思うので、長編にしてもっといろいろと人間ドラマを展開させるストーリーにしたらおもしろいんじゃないかな〜と勝手に思いました。

おしまい。

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