私が彼を殺した / 東野圭吾

東野圭吾の「私が彼を殺した」の感想などです。
加賀恭一郎シリーズ第5弾。
20年くらい前に読みましたが、再読してみました。

婚約中の男性の自宅に突然現れた一人の女性。男に裏切られたことを知った彼女は服毒自殺をはかった。男は自分との関わりを隠そうとする。醜い愛憎の果て、殺人は起こった。容疑者は3人。事件の鍵は女が残した毒入りカプセルの数とその行方。加賀刑事が探りあてた真相に、読者のあなたはどこまで迫れるか。

Amazonより引用

どちらかが彼女を殺した / 東野圭吾 と同様、最後まで犯人が分からないというミステリーです。
つまり、読者自身が推理を働かせ、犯人を特定しなければなりません。
心して読みましょう(^_^;)

さて、そういった作品であれば気になる難易度ですが、自分の場合は不思議な現象が起きました。

  • 最初に読んだ時には、きちんと正解がわかりました
  • それから20年ほど経過して読み直したところ、正解がわかりませんでした(/_\*)

絶妙な難易度ですね(^_^;)

今回読み直してみて分からなかったから言うわけではないですが、難易度は前作よりも上がっていると思います。
前作は思えばかなり露骨なヒントがあり、その証拠もわりときちんと書いてあった感覚がありますが、今回ははっきりとした書き方ではないのでかなり推理を働かせないと犯人が特定できません。
うーん、初回に読んだ時はほんとによく分かったなと思いますw
当時はなんか簡単だな〜という感じで拍子抜けだったんですがねぇ。
わからんものです。

ちなみに内容の方ですが、容疑者3人の視点によりストーリーが進んでいく構成になっています。
これにより、会話の内容や情景描写については事実ですが、当然その視点となっている容疑者の思惑のすべては書かれていないので、これがさらに問題を解く上で複雑化していると思います。
よくできていますな〜

もちろん単なる謎解きではなく、ストーリー的にもよく練られているので、小説としてとても楽しめる内容になっています。
結局加賀恭一郎視点での描写は最後まで出てこないので、第3者目線で加賀が着々と真相に迫り、最終的に犯人の断定にたどり着く描写はとても切れ味を感じました。

以下、ネタバレありの感想です。

今回は再読だったわけですが、読む前からピルケースが鍵になっていることだけは覚えていたのですが、まったくもってピルケースごとすり替えたという発想が出てきませんでした(/_\*)
問題のピルケースには身元不明な指紋が付いているというヒントが最後の最後で出てきましたが、え?なにそれ?という感じでした(/_\*)
ほんと、初回に読んだ時はよくこの指紋が前妻の指紋で、それですり替えたことが判明したとわかったものです。

もちろんこの作品の醍醐味はこの謎解きなわけですが、それを抜きにしても後半の加賀の説明で、すべてのカプセルの行方が判明したのはとても気持ち良いですね。
実は準子は部屋に入ってピルケースにカプセルを入れたとか、それを貴弘は見ていてその後ゴミ箱に捨てられたカプセルを回収可能だったとか、貴弘を脅迫したのは駿河だったとか、怒涛の展開です。
そして、これらの怒涛の展開後も3人とも実際に使われた毒カプセルを持っていた可能性が消えず、かつ、誰も毒カプセルをすり替えることもできないという状況を作り出せているのが素晴らしい。
ホント、よく練られていますな!

そして、この一見不可能に見える犯罪の真相を明らかにできたのが、ピルケースに付いていた証拠が身元不明な指紋というわけでした。
これ以降、この手の犯人が最後まで明かされない作品は書かれていないと思うのだが、是非またお願いしたいところ。

本当に傑作だと思います!

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