赤い指 / 東野圭吾

東野圭吾の「赤い指」の感想などです。
加賀恭一郎シリーズ第7弾。

少女の遺体が住宅街で発見された。捜査上に浮かんだ平凡な家族。一体どんな悪夢が彼等を狂わせたのか。「この家には、隠されている真実がある。それはこの家の中で、彼等自身の手によって明かされなければならない」。刑事・加賀恭一郎の謎めいた言葉の意味は?家族のあり方を問う直木賞受賞後第一作。

Amazonより引用

事件については一家の夫の視点から描かれます。
この夫がいわゆる事勿れ主義で現実逃避しまくりでホントダメダメだな〜と思ってしまう人物なのですが、妻がまたなかなかに残念な人で夫に同情の念を禁じえません。
そしてさらに息子が輪をかけたいわゆるクズ人間。
ある意味いまの世の中を風刺しているのですかね〜
という背景が設定されているせいか、なかなかこんな事件は起きないだろうと思う事件ですが、なかなかにリアリティがあります。

一方、この作品では加賀恭一郎の従兄弟である松宮脩平が登場します。
この松宮の視点から恭一郎や恭一郎の父隆正が描写されることにより、恭一郎と隆正の関係がこの作品で少し明らかになります。

この作品、結末はなかなか感動的ではあるのですが、自分的にはミステリーとしてはちょっとな〜というのが率直な感想です。
しかし、その代わりと言ってはなんですが、家族についてなかなか考えさせられる作品でした。

以下、ネタバレありの感想です。

まずタイトルにもなっている赤い指ですが、結局これブラフだったということ?
赤い指はいわゆるアリバイ作りなわけだけど、仮に本当に政恵が殺していた場合でも偽装できたわけだし。
うーん、納得いかんな〜
様々な状況を考えると直己が殺した可能性が高いと警察は考えるはずだし、昭夫はちょうどいい感じに頭が回って赤い指の政恵が犯人ではありえないと考えるはず、と政恵が考えたということ?
これはちょっと都合が良すぎるよな〜
ここまで読み切っていたら三国志演義の諸葛孔明レベルw

というわけで、肝心なクライマックスのトリック的なものがイマイチだったけども、最後の最後で昭夫が改心した場面はホント感動的でいい作品だと思います。
そして、自分の妻や子供がこうなったら地獄だな、、と思わせる恐ろしい作品でもあった(^_^;)

加賀恭一郎と隆正の関係もいいですな。
最後の最後までは、単に恭一郎がなにかの意地を張っていただけでつまらん人間だと見せかけておいて、実は隆正とは意思疎通がしっかりできていて、しかも将棋の伏線もそういうことだったのか!と。

そして、一人寂しく亡くなったと思われる恭一郎の母もしっかりと伏線が張られていてニヤリ。
回収は後の作品になるので、この作品時点では伏線でもなんでもなかったとは思うけども。
加賀シリーズは続けて読むのが良いと思った作品でもありました。

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