容疑者Xの献身 / 東野圭吾

東野圭吾の「容疑者Xの献身」の感想などです。

天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、2人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。

Amazonより引用

ガリレオシリーズ第3弾。
個人的には第3弾にしてすでに最高傑作ではないかと思っています。

細かいことを言えばいろいろとツッコミどころはあるのですが、この石神の純粋さには心を打たれます。まさに献身!!
そして、作品中で出てくる P≠NP 予想。
「自分で考えて答えを出すのと、他人から聞いた答えが正しいかどうかを確認するするのとでは、どちらが簡単であるか。あるいはその難しさの度合いはどの程度であるか」と作中では石神によって説明される数学の問題。
これは単に湯川と石神のレベルの高さを表す会話程度の役割だと思いきや、、まさにどちらが簡単であるか、つまり自分で出した答えが正しいのか他人から聞いた答えが正しいのかを検証する場面がやってきます。
いやいや、まさかN≠NP予想に絡めてくるミステリーが出てくるとは思いませんでした。

ミステリー的には、最初にあっさり殺人事件の模様が描写され、それを石神がなんとかするという設定が早々になります。
その後、石神がどう行動したのか、ですが、いやいやいやいやびっくりしました。
ずっと話の流れに違和感を持ちつつ読み進めていくと、最後にはその違和感も完全に解消され、そういうことだったのか!と。
ホント、こんな話よく考えつきますな。

以下ネタバレありの感想です。

まさか、花岡親子の殺人を隠すために自らが殺人をするとは!!
まず、この作品のトリックで特筆すべきはここでしょう。
普通、1つ目の殺人を隠蔽するために2つ目の殺人を見せることはない。
常識的にはあり得ないこの論理を逆手に取ったトリック。
最初の殺人のありさまを完全に描写されているのに、自分も完全に騙されました(/_\*)

なんで、花岡親子はアリバイがそんなに都合よくあるのか!?
などと思っていましたが、まさか殺人の次の日のアリバイだったとは。
そして、実際に次の日に殺人を犯すという発想は本当にあり得ない。
ホント、真相がわかった瞬間は鳥肌モノです。

そして、花岡親子の殺人を隠蔽するために自らが殺人まで犯すという石神。
本当に目的のためなら手段を選ばない人ですね。
恐ろしいほどに純粋です。
そして、それは最後の最後まで変わらなかった。
鋼の意志ですな。

そんなわけでミステリー的にも物語的にも本当に素晴らしい作品だと思いますが、残念ながらツッコミどころも結構満載(^_^;)
まあ、細かいツッコミどころが気にならないくらい個人的には満足しましたが、気になる人はきになるでしょうね〜
ということで、特に個人的に気になった部分を2つ挙げておきます。

  • 石神はこれまであまり女性に興味を持ったりしなかったようだが、なんで花岡靖子はあっさり好きになったのかわからない。特になんのきっかけもないように思うし、設定としてはかなり無理がある
  • まあこの作品のツッコミどころの最たるものは、いくら感動といっても殺人を犯すのはダメでしょ〜かな

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