悪意 / 東野圭吾

東野圭吾の「悪意」の感想などです。
加賀恭一郎シリーズ第4弾。
この作品も20年くらい前に読んだのですが、改めて読み直してみました。

人はなぜ人を殺すのか。
東野文学の最高峰。
人気作家が仕事場で殺された。第一発見者は、その妻と昔からの友人だった。
逮捕された犯人が決して語らない「動機」とはなんなのか。
超一級のホワイダニット。
加賀恭一郎シリーズ

Amazonから引用

率直なところ、以前読んだ時にはそれほどインパクトもなく、ほぼ完全に内容を忘れていました(/_\*)
覚えていたのは、「悪意」と名付けられた意味のみ。
それだけはぼんやりとは覚えていました。

なので、改めて読み返すにあたってそれほど期待感はなかったのですが、、、実際に読み返してみると、いや〜よくできています。
早々に殺人犯は判明してしまい、まだ1/3もいっていないと思うけど、ここからどう引っ張るの??と思っていましたが、そこからの流れが本当に秀逸でした。
なんでこんな傑作を読んで当時はインパクトを受けなかったのだろう。
我ながら不思議です。

また、加賀シリーズとしても抑えておく作品ですね。
本作品は加賀ともう1人の人物との手記を交互に並べる形で成り立っているのですが、このもう1人の人物が加賀恭一郎の教師時代の先輩にあたる人で、加賀の教師時代の一端が出てきます。
どうして、加賀が教師をやめ、警察官に転職したのか。
そのあたりの話が明らかになります。

以下、ネタバレありの感想です。

この作品の珍しいところは、犯罪自体は隠蔽せず、動機のみ隠蔽するというところでしょう。
なかなか思いつかない発想ですよね。
自分が犯罪を犯したことはあえて捜査できるように仕組んでおく。
しかし、その犯罪の動機は自分が作り上げた動機であるように誘導する。
こんな発想ありますかね〜
しかし、最後まで読み進めていくと、こういう発想に至った犯人の心情はすんなりと理解できるというところがすごい。

そして、加賀も最後に言っていたが、殺害された日高という人物。
この人物は、たしかに当初から悪いイメージがあり、言い方を変えるとそのうち誰かに殺されそうである人物という印象があった。
しかし、実際は正義感が強く、周りの評判も上々の素晴らしい人物であった。
たしかに、本編とは関係なさそうな猫の毒殺の話が効いていて、これにより日高が悪人であると無意識のうちにイメージしてしまっていた。
このトリックはまさに絶妙。ホントにすごい。

野々口はこの動機改ざんトリックのために様々な仕掛けを用意しており、それぞれもすごい話ではあるのだが、一見地味な猫の毒殺トリックが最後に明かされた時は本当に衝撃が走った。

いや〜本当に傑作ですね。

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