名探偵の呪縛 / 東野圭吾

東野圭吾の「名探偵の呪縛」の感想などです。

図書館を訪れた「私」は、いつの間にか別世界に迷い込み、探偵天下一になっていた。次々起こる怪事件。だが何かがおかしい。じつはそこは、「本格推理」という概念の存在しない街だったのだ。この街を作った者の正体は?そして街にかけられた呪いとは何なのか。『名探偵の掟』の主人公が長編で再登場。

Amazonより引用

大傑作 名探偵の掟 / 東野圭吾 の続編と聞いていましたが、前作とは全く違います。
前作はいわゆる短編集で、それぞれの短編でミステリーを1つの角度から分析し揶揄するようなパロディーものでしたが、この名探偵の呪縛はまず長編ですw
そして前作はやりたい放題だった天下一大五郎と大河原警部の茶番劇のようなものも一切ありません。
今回は仮想空間とも言えるような舞台での出来事なのでリアリティは一切ありませんが、シリアスな空気さえ感じます。

話の内容としては、東野圭吾自身が別世界に迷い込み、そこでは天下一となっていたというところから始まります。
そして、その世界では本格ミステリーというものがない。
にもかかわらず、、、次々と起きる事件は、密室、犯人消失と典型的な本格ミステリーとも言える事件。
そして最後に誰もいなくなったとなりそうなところで、真相判明。
うーん、前作名探偵の掟 / 東野圭吾ではさんざん本格ミステリーを揶揄しておいて、ここまで普通の本格ミステリーチックなストーリーを展開しているのはなぜなんだろ、、、という感じでしたが、最後の最後でようやく分かった気が。

これは東野圭吾自身のいわゆる本格ミステリーからの決別ということなのかな。
もうトリックを重視するような作品からは決別すると。
ただ、終章の最後を見ると、とはいえこういった本格ミステリーを今まで書いてきたということは大事なことだし、また書ける時が来たら書きたい!ということなのだろう。

この作品は結構前の作品なのだが、その後いわゆるトリックや犯人探しを全面に出した作品はなかったと思う。
ということは、まだ東野圭吾は本格ミステリーを書こうという気になっていないのかな。
もう20年以上建っているだけどね〜

自分は東野圭吾の本格ミステリーもとても良かったと思っているので、ぜひまた書いてほしいんだけどな。

おしまい。

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