放課後 / 東野圭吾

東野圭吾の「放課後」の感想などです。

校内の更衣室で生徒指導の教師が青酸中毒で死んでいた。先生を二人だけの旅行に誘う問題児、頭脳明晰の美少女・剣道部の主将、先生をナンパするアーチェリー部の主将―犯人候補は続々登場する。そして、運動会の仮装行列で第二の殺人が…。乱歩賞受賞の青春推理。

Amazonより引用

東野圭吾のデビュー作。
もちろんとっくに読破済みだけども、改めて再読してみました。
かなり昔の作品だし、ストーリーも大まかには覚えていましたが、それでも十分に楽しめるところがすごい。
今の東野圭吾とは違ってトリック重視なところがあり、純粋なミステリーという感じですな。
デビュー作であるにも関わらず、伏線の張り方がすごく、本当によくできているなと改めて思いました。

で、結局のところこの作品はやはり動機の問題に行き着きますな。
もうちょっとなんとかならなかったかな〜と個人的には思うのですが、世の中的にはこういう女子高生ならではの動機が素晴らしい、となるのだろうか?

以下ネタバレありの感想です。

改めて読み直してみて思ったのは、トリックが凝っているなということ。
北条雅美が解き明かした錠前をすり替えるというトリックは見事だと思ったけども、実はこれが囮だったとは。
囮のトリックをここまで練り込んで仕立て上げているというのはかなり特筆すべき内容だと思いました。
メインのトリックとしても十分なレベルだと思うので、ある意味もったいないよね(^_^;)

また、この作品の出だしは、前島が何者かから狙われているというところから始まるが、これが実は伏線になっていて、第2の事件のカモフラージュになっているというのがすごい。
最初から前島が狙われているという先入観で読み進めていくから、第2の事件は前島が狙われたと誰もが思うよね。
これはホントに見事。

さらに、前島はマイナースポーツと思われるアーチェリーの顧問という立ち位置でもあるが、まさかこのアーチェリーであることが重要であるとは思わなかった。
実際、東野圭吾はもともとアーチェリーをやっていたみたいだし、単に著者の好みだと思い込んでいた。
これも見事ですな〜
たしかにちょうどいい長さだと思うし、無理なく証拠隠滅することができる。
ホントよく考えられていますな〜
しかし、ケイの策士ぶりはおそろしい。
ここまで頭が回る高校生の犯罪者がいたらヤバいな。
こう言っちゃなんだけど、この程度のことで2人も殺しちゃうんだから恐ろしい。
しかも、ケイ自身は別に共犯になる必要なんてまったくないし。

こういったトリックとか伏線については、むしろ今の東野圭吾よりもすごいのでは?といった気もするくらいで、本当に純粋にミステリーとしては面白い作品ですな。
しかし、そのわりには最後のオチが、妻の浮気相手から刺されてしまって終わりというのはちょっとねぇ。
動機もひどいと思ったが、最後の終わり方はもうちょっと考えてほしかったなと思った。

そして、前に読んだ時には気にならなかったのだが、前島の最後のセリフ「長い放課後になりそうだ」の意味がわからん(/_\*)

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