マスカレード・ホテル / 東野圭吾

東野圭吾の「マスカレード・ホテル」の感想などです。

都内で起きた不可解な連続殺人事件。容疑者もターゲットも不明。残された暗号から判明したのは、次の犯行場所が一流ホテル・コルテシア東京ということのみ。若き刑事・新田浩介は、ホテルマンに化けて潜入捜査に就くことを命じられる。彼を教育するのは、女性フロントクラークの山岸尚美。次から次へと怪しげな客たちが訪れる中、二人は真相に辿り着けるのか!?いま幕が開く傑作新シリーズ。

Amazonより引用

3つの連続殺人事件が発生。
そこに残されていた暗号により、次の犯行はホテル・コルテシア東京で行われる可能性が高いので、若手の刑事新田浩介がホテルに潜入捜査するというストーリー。

しかし、このホテルの潜入捜査というのが曲者で、ホテルマンという職業がいかに大変なものであるかが様々な角度から描写されます。
例によって巧みな人間描写でとてもおもしろいです。
ミステリーというよりホテルマンの小説だなw
そして、地味な存在である能勢刑事がいい味出していて良いですね。

そして人間ドラマだけではなく、メインとなるトリックはほんとによくできてます。
なぜ連続殺人事件なのか。
ミステリーとしても大満足な一作ですな。

以下ネタバレありの感想です。

連続殺人事件にあえて見せかける理由というのは、実は交換殺人などで犯人はバラバラなのだが裏をかいて同一犯と思わせるためというのが普通でしょう。
したがって、今回出てきたような関連性を示すような暗号や犯行の手口などを共通化します。
しかし、これではおもしろくない。
ということで、さらにその裏をかいて一見連続殺人の同一犯と見せかけながらも微妙に犯行の手口などを共通化しないことで、バラバラの犯行と見せかけるというのが今回のトリックですね。
交換殺人じゃないけど。
まさに裏の裏。
つまり、実は同一犯による連続殺人が起きているのに、それぞれ単独犯であり、2つの殺人事件を関連付けさせないようするというものですね。
いや〜これはよく考えましたな。

そして、盲目なフリをした老婆に化けていた長倉麻貴が犯人だったというのもビックリだったけど、それよりなにより尚美がターゲットだったということにビックリ。
なにげなく出ていたストーカーのエピソードがまさかの犯行動機だったとは。
たしかに、尚美をターゲットにするならホテルを犯行現場にするのは自然ですな。

それにしても、ストーカーエピソードだけでなく、長倉麻貴が下見に来た時(手袋の話とか)の話とか、ほんとに伏線が上手いですな!
事件と関係のない無駄なエピソードもいろいろとあるので、どれが伏線なのかわからないさじ加減も良いですね(^_^;)
そして、最後にそれらの伏線がものの見事に回収されるのが気持ち良いです。

さすが東野圭吾と思わせる一作ですな。

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