マスカレードシリーズの最新作、「マスカレード・ナイト」の文庫本が出たので早速購入して読破しました。
話の内容の詳細はネタバレしてしまうので割愛しますが、いつもの東野圭吾通り、様々な伏線を見事に吸収していくつもの謎をすべて解明!という点ではとても素晴らしい作品だったと思います。
特に、なぜ犯人は”マスカレード・ナイト”に現れるなどという密告状が送られてきたのか、という点については、かなり複雑な理由があり、なるほど!と納得させられました。
この点については、ホントによく練られた作品だなと思いました。
しかし、東野圭吾にはありがちなのですが、この作品も動機がかなりイマイチだと個人的には感じました。
まったくリアリティが感じられなかったので、この点については本当に残念ですね。
やっぱり、ミステリーにおける登場人物の様々な行動についての動機づけはとても重要で、それこそ上記の密告状を送ったことの動機はとても良くできていたのに、肝心要の犯人の動機がまったくもって特殊過ぎます。
正確に書くと、動機そのものというよりは、動機につながる犯人の性癖というか。
まあ、はっきり言えば、こんな人世の中にいるかね?という感じですね。
あとは、これは若干ネタバレになってしまいますが、潜入捜査と並行してロサンゼルス行きのテストをするというのはさすがに無理のある設定ですな。
どう考えても、こんなとんでもないことが起きている時にテストなんてしないでしょ、普通は。
といったわけで、ミステリーとしては若干微妙な出来と言わざるを得ないですが、ホテルマンを描く物語としてはとても良くできていると思います。
登場人物の描写はさすが東野圭吾だけによく描かれていてとても引き込まれます。
ミステリーとしてではなく物語としては、自分的には傑作に入るかもしれません。
とてもおもしろかったです。
この作品はマスカレードシリーズの3作目になりますが、1・2作目の登場人物もいろいろと登場します。
そういう意味では、まずは1・2作目から読んだほうがより楽しめると思います!
自分は、このマスカレード・ナイトを読んだあとで、1・2作目を改めて読み直したので、そのうちそれらの感想も改めて書こうかと思います。
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