ウインクで乾杯 / 東野圭吾

東野圭吾の「ウインクで乾杯」の感想などです。

パーティ・コンパニオン小田香子は恐怖のあまり声も出なかった。仕事先のホテルの客室で、同僚牧村絵里が、毒入りビールを飲んで死んでいた。現場は完全な密室、警察は自殺だというが…。やがて絵里の親友由加利が自室で扼殺され、香子にまで見えざる魔の手が迫ってきた…。誰が、なぜ、何のために…。ミステリー界の若き旗手が放つ長編本格推理の傑作。

Amazonより引用


バブル期の雰囲気を感じる本格ミステリですね。
主人公の小田香子が、殺された同僚のや玉の輿狙いのターゲットとしている高見俊介のことを探っているうちに真相がわかってくるというストーリー。
設定は結構凝っているし展開も面白いと思うのですが、個人的には不思議と傑作!と言えるほどのインパクトがなかった作品です。
おもしろかったんだけども、印象にイマイチ残りにくいというか。
設定を凝っているわりには登場人物の描写が薄かったからかな。
もしくは、バブル期特有の軽い雰囲気が随所に出てくるにも関わらず、内容が本格ミステリであるという若干ミスマッチ的な部分があるからかな。
なんかいろいろとマイナスなこと書いてますが、基本的にはとても楽しく読めた作品です。

以下ネタバレありの感想です。

いろいろと複雑すぎてストーリーの構成を忘れそうなので、まずはあらすじ的なものをまとめておきます(^_^;)

華屋のパーティが行われたホテルの控室で、香子の同僚の絵里が青酸カリを飲んで死んでいた。
これを社長の丸本が発見。
この控室はいわゆる密室状態になっており、青酸カリは絵里自身が用意していた。
また、丸本と絵里は実は交際しており、これらのことから当初は絵里の自殺と思われていた。
これが事件のあらまし。

その後、香子は絵里の地元である名古屋に行き、伊瀬という男が絵里の昔の恋人であることを知る。
そして、伊瀬は高見不動産社長の殺害犯であった。
高見俊介はこの殺された高見社長の甥にあたるため、高見俊介が一気に怪しくなる。

さらに、香子は由加利という女が絵里の親友であることを知り、由加利と知り合う。
そこでまた様々な情報を入手するが、由加利もまた殺されてしまう。
ここまでで事件はいったん終了。

結局事件の真相としては下記のような感じか。

  • 健三は海外の麻薬パーティーで高見不動産社長の娘と知り合う。そのネタで社長を脅迫。実際に脅迫をしていたのは丸本と伊瀬
  • しかし、脅迫しているうちに伊瀬は動揺して社長を殺してしまう
  • 高見俊介は当然上記の事件は知っているが、真相は知らず、真相を探っていた
  • 絵里は伊瀬の遺品(ビートルズのテープ)で事件の真相を知り、健三に復讐しようとする
  • しかし、逆に絵里は殺されてしまう。密室トリックは共犯の丸本とチーフコンパニオンが作成
  • 同じく絵里から遺品を譲り受けていた由加利も真相にたどり着いたっぽいが健三に殺されてしまう

いや〜凝ってますね〜
ただ冒頭でも書きましたが、いろいろ各人に背景があるにもかかわらず、その描写が薄かったのが残念ですね。
まあ、東野圭吾がその後人物の描写に力を入れるタイプ、どちらかと言えばミステリーよりも人間ドラマに重きを置くタイプになったからこそそう感じるのかもしれませんが。
それに、これだけの内容で描写にも力を入れてしまうと、ものすごい長編になってしまう気もしますな笑

ただ最後に1つだけ苦言を呈しておくと、、、この作品の最大のキーとなるビートルズのテープの謎。
これ、そんなに簡単にわかるかね??
絵里、由加利、香子と3人続けて正解にたどり着いたことになるけど、そんなに誰もが簡単に解けるようなものではないと思うのだが。

おしまい。

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