東野圭吾の「雪煙チェイス」の感想などです。
殺人の容疑をかけられた大学生の脇坂竜実。彼のアリバイを証明できる唯一の人物―正体不明の美人スノーボーダーを捜しに、竜実は日本屈指のスキー場に向かった。それを追うのは「本庁より先に捕らえろ」と命じられた所轄の刑事・小杉。村の人々も巻き込み、広大なゲレンデを舞台に予測不能のチェイスが始まる!どんでん返し連続の痛快ノンストップ・サスペンス。
Amazonより引用
スキー場シリーズ?第3弾。
一部の主要キャラクターは白銀ジャック、疾風ロンドで登場したキャラクターが再登場しますので、これらの作品の後に読むことをおすすめします。
とはいえ、続き物の話ではないので、この作品単品でも十分楽しめます。
今回は殺人事件が初っ端に発生するのですが、図らずもその容疑者になってしまった大学生・脇坂竜実が主人公です。
もちろんその脇坂は犯行を行っていないのですが、状況証拠的に非常に怪しい。というか真っ黒としか言いようのない状況。
唯一の望みはアリバイを証明できるかもしれないことなのですが、しかしそれも、どこの誰だかわからない美人スノーボーダーにしか証明できない。
なので、その人をわずかな情報から探し出すというストーリーです。
言わば、ハリソン・フォードの逃亡者のようなノリで、人目を避けつつもアリバイを証言してくれるであろう美人スノーボーダーを探し出すというお話ですね。
そういう意味では、殺人犯は最後の最後まで出てこないし、ミステリーという感じではありません(^_^;)
あと、本庁の刑事を出し抜くべく警察という身分を明らかにしないまま操作を行う所轄の小杉刑事がなかなかいい味を出しています。
この人最初は単なるつまらん役人という感じでしたが、だんだんと人間味ある描写になっていき、最後は五分の魂を見せつけて、まさかのかっこいい刑事になりますw
話の設定などは正直いろいろと現実味がないなwという感じでリアリティには乏しいですが、この作品もやはりスキー場を取り巻く人々の思いが伝わってくる作品になっていて、読後にはスキー場に行きたくなりますな笑
以下ネタバレありの感想です。
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無実の罪で逮捕されそうであった脇坂のアリバイは証明され、それをいち早く察した小杉刑事は本庁よりも先に真相にたどり着き、本庁のエラソーなエリート刑事は煮え湯を飲まされ、スキー場の結婚式イベントは無事開催され、シリーズキャラクターである根津と千晶はなぜか結婚することになった!?と、いろいろ最後はキレイまとまってめでたしめでたし、でとてもおもしろく読後感も良い作品でした。
この終わり方だともう次は残念ながら次はなさそうですね〜
まさか根津夫妻となっても登場したりするのだろうかw
なんか夢がどうのこうのとか言ってたしな。
それが実現したら小説でもすごいので読んでみたい気はする。
一点どうしても納得が行かないのは、結局謎のアリバイが証明可能な美人スノーボーダーは結婚式の本来の新婦である成宮葉月だったわけですが、妊娠3ヶ月の身で普通スノボーで滑りにいくかね!?というところですね。
普通に滑るだけでもありえないのに、コース外の木が乱立していて整備もされていないようなところなんてまあ滑らないでしょう。
しかも、すげぇ勢いで滑っていたらしいし。
さらに言えば、一度ならず、里沢でも同じようなことやったらしいし。
小説の中とは言え正直ドン引きですわ。
この部分だけでももうちょっとなんとかしてくれればな〜というのが正直なところ。
別に妊娠させる必要はあまりなかったと思うし。
根津+千晶に代打?代走?させるというストーリーにしたかったのは分かるけど、それなら妊娠じゃなくても普通に怪我するとか急病とかでもいいと思うんだけどな。
まあ、そもそも脇坂みたいな無駄に殺人犯だと思われそうな普通やらなそうな行動をやりつつ、実際にそれとは関係なく殺人が起きてしまって容疑者になるなんてこと自体がけっこう無理のある設定だと思うし、あまり細かい設定について気にしても仕方のない作品ではないとは思うけどね。
せっかく終わり方はとてもキレイだったので、ちょっと惜しいな〜という感じです。
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