毒笑小説 / 東野圭吾

東野圭吾の「毒笑小説」の感想などです。

塾にお稽古に家庭教師にと、VIPなみに忙しい孫。何とかゆっくり会えないものかという祖父の訴えを聞いて、麻雀仲間の爺さんたちが“妙案”を思いつく…。前代未聞の誘拐事件を扱った「誘拐天国」をはじめ、毒のある可笑しさに満ちた傑作が1ダース!名作『怪笑小説』に引き続いて、ブラックなお笑いを極めた、会心の短篇集。「笑い」追求の同志、京極夏彦との特別対談つき。

Amazonより引用

前作 怪笑小説 / 東野圭吾 に続いておふざけ?シリーズ第2弾。
ミステリーではなくこれでもかと若干ブラックな笑いにスポットをあてた大爆笑ものの短編集です。
前作も傑作でしたが、今作も傑作だと思います。

巻末には京極夏彦との対談も収録されており、これがまたおもしろいです。

以下、軽くそれぞれの短編についての感想を。
ネタばれ注意で。

スポンサーリンク

誘拐天国

まず登場人物の名前からしてふざけてますね。福富とか宝船とか銭箱とかw
彼らが孫を偽装誘拐するというストーリーですが、まあいろいろとぶっ飛んでます。
そこでニヤリとさせつつも、今の子供達の自主性のなさをチクリとさせつつもまたまたニヤリとさせるところはさすがですな。
最後は子どもたちも元気になってめでたしめでたし。
なにげにいい話です。

エンジェル

核実験やらプラスチックごみの問題やらいろいろと世の中を切りつつも、おもしろおかしく展開させるのはさすがです。
最後は宇宙から俯瞰する存在を登場させてバッサリ。
おもしろかったけど、ちょっと世の中を風刺するテイストが強すぎたかなという印象。

手作りマダム

富岡夫人やばし!!
これ、程度は違えど全国各地で似たようなこと起きているかもねぇ。。。
最後の言いたい放題タイムは主人公とともに一気にストレスを解放し爽快!
と思いきや、全部盗聴されていたという怖いオチ(^_^;)
このあとどうなったんでしょう。。

マニュアル警察

極端にマニュアル化されたらどうなるかというお話。
おもしろかったけど、たぶん一般人でも似たようなことを一度は話している気がするので、東野圭吾にしてはちょっと題材がイマイチだなというのが率直な印象。

ホームアローンじいさん

家族の留守中にこっそりAV鑑賞を企むおじいちゃんのお話。
今回収録されている作品は、ここまでは前作と比べるとバカっぷりが少しおとなしめだと思ったのですが、この作品で一気にバカっぷりが振り切れてますwww
主人公がおじいちゃんであることをいいことに、もうひたすらおバカな話の連続。
そして、最後のオチは推測していた通りで期待を裏切りませんw
ひたすらバカすぎてホントにふざけた短編ですが大爆笑の一作。

花婿人形

主人公の御茶之小路茂秋は、母に教わったこと以外は何もできない人間になってしまっており、この短編もバカっぷりが振り切れてますw
いくらなんでもここまで言いなりなやつなんていないだろう、、と思いつつも話に引き込まれるところがさすが東野圭吾。
そして、結婚式の最後で大惨事が!
くだらないとしか言いようのない話ですが、こちらも期待取りのオチで大爆笑の一作。

女流作家

この作品はこのシリーズでは若干毛色が違いますね。
振り切った笑いではなく、軽いミステリーになっています。
まあちょっと現実味のない設定などはこのシリーズの特色通りなのですが、そういうオチに持っていきましたか!という感じ。
これは、結局作品が売れるか売れないかなんて中身じゃなくて名前だろ、という著者の心の叫びか!?

殺意取扱説明書

タイトル通り、殺意に関する取扱説明書のお話。
面白おかしく書かれているけど、これはちょっと笑えないですね。
東野圭吾なりの殺意についての研究結果なのかなこれは?
人を殺したい!と思った時には、よくよく考えようというメッセージとも受け取れる。
最後に、「結局私に殺人なんて大それたことはできないのだ」と主人公が結論付けたことでめでたしめでたしという感じか。

つぐない

うーん、これは全然笑いではないですな。
中年おじさんがピアノを一から習うということでどんなおバカ展開が待っているのかと思いきや、、、そういう展開になるとは。
脳の話などが出てくるところは東野圭吾っぽいけど、これ普通に長編でも良かったんじゃないかな〜と思うくらい深い話だった。
最後に家族が中年おじさんの演奏を聞いてどう感じたのかもとても気になるし、まだまだふくらませる要素がたくさんありそうな気がする。

栄光の証言

この前の作品「つぐない」がちょっと感動的なストーリーだったのでそういう路線に変更になったのか?と思わせておいて、この作品でまたおバカ路線へ。
自分の証言によって殺人事件の犯人が逮捕され、一躍脚光を浴びるというストーリー。
この主人公の気持ちはわからんでもないw
しかし、もはや捏造の域に達する勢いで工作してしまうのはさすがおバカシリーズw
ただ、最後のオチが捏造工作中に落下して気絶してしまったというだけなのはちょっと弱いな〜と思ってしまうのは、このシリーズに毒されてしまったのかもしれん。
どんどんもっと強力な毒を欲しがってしまっている気がする(^_^;)

本格推理関連グッズ鑑定ショー

この作品は若干ブラックではありますが、なにげにしっかりとしたミステリーになっていますね。
鑑定番組で鑑定してもらっているところまでは、通常のおバカな展開かと思いきや、実はその鑑定してもらったものは殺人事件の重要な物証で、しかも、それを鑑定できる事自体が真犯人であるというオチ。
いや〜完全にやられました。
それを込みで非常に価値があるということだったとはね〜

誘拐電話網

いや〜ブラックですねw
まず子供を誘拐。
そして、全然関係ない人にその人の善意を期待して身代金を要求。
ここまででもわりとぶっ飛んだ設定だと思いますが、さらに、その被害者がこの問題を解決するために、同じことを別の人間に行う。
つまり被害者がそのまま加害者になる。
完全に不幸の手紙パターンだけど、こんなのよく考えつくなw
そして、この大元の事件は解決したはずなのに、なぜかこのリレーはまだ続行される。
人間の弱さがよく表れていますな。

コメント

タイトルとURLをコピーしました