予知夢 / 東野圭吾

東野圭吾の「予知夢」の感想などです。

深夜、16歳の少女の部屋に男が侵入し、気がついた母親が猟銃を発砲した。とりおさえられた男は、17年前に少女と結ばれる夢を見たと主張。その証拠は、男が小学四年生の時に書いた作文。果たして偶然か、妄想か…。常識ではありえない事件を、天才物理学者・湯川が解明する、人気連作ミステリー第二弾。

Amazonより引用

ガリレオシリーズ第2弾。
第1弾の 探偵ガリレオ / 東野圭吾 と同様、湯川学が科学を駆使したトリックを解明し、難事件を解決していく短編集です。
いい意味で前作を踏襲している作品ですね。

以下、例によって軽くそれぞれの短編についての感想を。
ネタばれ注意で。

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夢想 ゆめみる

この作品はサイエンス的な要素が出てこないですね。
オカルト路線に振り切ったのか!?

轢き逃げ事件が起こした坂木信彦。
しかし、彼はひき逃げ事件を起こす直前、森崎礼美に会うために深夜森崎家に不法侵入していたが、母親の森崎由美子に発見され、猟銃で発砲されるという事件を起こしていた。
坂木は小学生だった17年前から礼美と結ばれると公言しており、それで侵入したと言っている。
しかし、実際の森崎礼美は今16歳なのでそんなことがあるはずがない、、というストーリーです。
うーん、謎ですね〜
これはどういうオチを付けるのだろうか、、、と思ったら、坂木が子供の頃にもらった人形がモリサキレミという名前で、それがきっかけで「礼美と結ばれる」と思い込んでしまったらしい。うーむ。
さらに、坂木に人形をあげた人物は同じ年頃の女の子で、その子の父親と森崎由美子が不倫関係にあったとか。うーむ。

それで、森崎由美子が坂木によって不倫関係がバレるかもしれない、、と考えて合法的に殺すために仕組んだ事件だったというのが真相。
さすがにちょっと強引すぎるな〜と思いましたが、まあ一応生まれてもいない森崎礼美を17年前から知っていたことの理屈は通りますな。
正直ちょっとイマイチだな〜と思った作品でした。

霊視 みえる

この作品で殺されてしまう長井清美ですが、いやいやいやいやクズですね〜
男に集りまくるだけでなく、たまたま写真を撮ったら写っていた決定的瞬間をネタに強請るとは。
しかも、それで得た金はブランド物に化けてしまったみたいだし。

この作品は伏線の回収が見事でした。
最初に小杉浩一が清美の店に行くようになった時点で違和感があったし、幸運の写真とか左手首の傷とか。
アリバイトリックの小杉邸での清美登場も含めてそれらが最後にはキレイに繋がりましたな。

しかし、これらのもっとも重要な手がかりとなったのがステレオのガリ(シリコン)というのはな〜
そんなの女が使うヘアスプレーの有無で劇的に変わるものなのか!?と思えてしまうのがちょっと残念。

騒霊ぐ さわぐ

いわゆるポルターガイストの話。
やはりオカルト路線に振り切ったのかな?
現場の下にはマンホールがあり、そこに工場の排水が流れてくると共振してポルターガイストのような現象が起きた、とのこと。
そして、最近起きるようになったのは、死体をその近くに隠すために穴を掘ったから。
よくこんなの考えますな〜

そして、最後はポルターガイストの起きる家に居座っていた悪い奴等の悪事を暴いて一件落着。
お金も使われずに残っていて勧善懲悪的で良い終わり方なのですが、個人的にはこの家の主だったおばあちゃんのヒデやそのおばあちゃんにたびたび会いに行っていた神崎俊之が結局死んでしまっていたというのが残念なストーリーでした。

絞殺る しめる

いわゆる保険金詐欺の話。
実は予行演習中だった時に見えた火の玉は、ヒーターで焼き切られたアーチェリーだったというのはちょっとおもしろい。

しかし、自殺では保険金が出ないから自作自演の殺人に見せたという、まあ残念な話ですね。
しかも、この自殺した人がまわりから慕われている様子なのが輪をかけて残念な感じ。

予知る しる

今回の短編集の中ではこれが一番面白かったかな。
瀬戸富由子がいつまで経っても離婚しない不倫相手菅原直樹に対して、首を吊ったように見せかけようとするが、実際に首を吊って死んでしまったという話。
しかし、この2日前にもこの女が首を吊ろうとしていたらしく、その様子を菅原直樹の隣に住んでいる子供が見ていた。
そこから、実は2日前のものは練習で、本番も見せつけるだけの予定が誤って死んでしまったのではないかと推理される。
もちろんこれには何らかのトリックがあったはずなのだが、その痕跡がなくなっているということは共犯者がいたはず、、といった感じで推理が進んでいきます。

最終的にはさらに複雑になり、実は菅原直樹の妻静子と菅原直樹の後輩の峰村英和も不倫しており、それを瀬戸富由子は知っていた。
そして、実は瀬戸富由子は峰村英和とグルになって菅原直樹が離婚するように仕向けるが、峰村英和は自らの不倫を知ってしまった瀬戸富由子を排除したくなり、この偽装首吊で本当に死んでしまうプランを計画。
そのトリックは、ER流体なるものでしたが、もちろん知りません(/_\*)
でも、なるほどな〜と思わせるトリックでした。
久々にサイエンスなトリックが炸裂した気がしますな。

しかし、最後の予知夢はいらなかったんじゃないかな〜と思うけど、そんな事言うと本作品のタイトルが成り立たないことになりますな(^_^;)

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